欧州からはじまったアメリカ倒幕運動。  ところが、旧ソ連でのアメリカの革命に激怒したロシアが参戦した。  そして、プーチンは、禁じ手(ルーブルで石油を売る)を使うことを決意しました。  プーチンは、もう一つ歴史的な決断をしています。  それが仮想敵 NO2中国との同盟。  幕末、薩摩藩と長州藩は犬猿の仲でした。  しかし、徳川幕府打倒で一体化した。  これを「薩長同盟」とよぶのは、皆さんもご存じのとおり。  現代は、犬猿の仲だった中国とロシアが、「アメリカ打倒」で一体化した。  そして、ついにその日がやってきたのです。                          
中国の戦略    中国の戦略を考えてみましょう。   GDPで世界 2 位、軍事費でも世界 2 位の中国。 勝てる見込みのない仮想敵は世界でただ一国、アメリカ合衆国。   中国の目標は「アメリカに勝って、覇権国家になること」。別に戦争をして勝たなくて もいいのです。孫子がいうように、「戦わずして勝つ」のが一番いい。  
 ではどうすれば、勝てるのか?  中国の敵アメリカの動きを見ればわかります。   第 1 に、潜在破産国家アメリカが覇権国家でいる理由は、「ドル基軸通貨体制」の おかげ。  つまり、中国は「ドル基軸通貨体制を崩壊」させればいい。   第 2 に、アメリカは世界一の石油消費国。しかも石油が枯渇しはじめる。だから、中 東、ロシア、カスピの石油・ガスを支配する。  中国が世界一の経済・軍事大国になるためにも、石油・ガスは不可欠。 当然中国も、中東、ロシア、カスピ(特に隣接する中央アジア)の石油・ガスを押さ えなければならない。  
 第3に、アメリカは中東・ロシア・カスピ支配に成功した後、中国民主化を画策するで しょう。  中国は、覇権国家の条件である、金力(経済力)と腕力(軍事力)を強化していく。   もう一度簡単に中国の戦略を書くと、1、ドル基軸通貨体制を崩壊させる 2、 中東、ロシア、カスピの石油・ガスを確保する 3、経済力軍事力を強化し続ける。   3 については、詳しくお話する必要もないでしょう。 2 についても、長くなるため詳述するのはひかえます。    
最強の同盟国ロシア   ロシアにとって、中国は「仮想敵 NO2 だ!」という話はもうしました。  しかし、中国にとってのロシアは、最重要国なのです。  
 第 1 に、中国の武器輸入の 90%はロシアからだった。 (ここ数年、ロシアは中国への最新兵器輸出を制限するようになっています。)  第 2 に、アメリカが中東支配に成功した場合、中国は陸続きのロシアから石油を輸 入するしかなくなる。  
ロシアは、アメリカを憎みつつも、中国を恐れているという話でした。 ロシア政府のお偉いさんは皆、「アメリカと中国は、戦って共に滅んでしまえ!」と思 っていた。   しかし、事態は中国有利に展開していきます。 アメリカの自業自得。   今まで書いてきたように、アメリカは 03~05 年、ロシアの旧植民地である旧ソ連諸 国グルジア、ウクライナ、キルギスで革命を起こしました。   プーチン大統領(当時)は激怒し、「アメリカは目前の問題。中国は長期的問題。ま ずは中国と組んでアメリカ問題を克服しよう!」と決意してしまった。   ここでは中ロがどこまで親密になっているのかという話をしましょう。  日ロ関係の障害といえば、北方領土問題。  中ロにも 41 年にわたる領土問題がありました。これを両国は 05 年 6 月に解決して います。  ロシアと中国は 05 年 6 月 2 日、東部国境画定に関する批准文書を交換。これによ り国境問題は最終的に決着しました。 双方が譲歩して領土問題を解決する。かなり良好な関係にあるということです。  
胡錦濤は 05 年 7 月、モスクワを訪問し、プーチンと会談しました。両首脳は 7 月 1 日、クレムリンで、国連中心主義を柱とした「21 世紀の国際秩序に関する共同宣言」 に調印します。   なぜ「国連中心主義」なのか? 
中国とロシアは共に国連安保理の常任理事国で拒否権があります。ですから、アメ リカがどこかの国(例えばイラン・北朝鮮)と戦争するのを違法と非難する権利がある。  
アメリカは国連安保理を無視してイラクを攻めたため、アナン国連事務総長は、「イ ラク攻撃は国際法違反だ!」と断言しています。  
中ロが国連中心主義を掲げるのは、常にアメリカの戦争に反対するため。そして、 両国は「平和を愛する国」としての名声を確立し、アメリカの評判は失墜していく。  
05 年 8 月 18 日、中国とロシアは初の合同軍事演習を実施しました。  これは明らかに、台湾とその後ろにいるアメリカを想定したものなのです。  
「トンデモ系・陰謀系には興味ありません。これ以上読まないことにします」 
  
まあ、もう少し待ってください。これは、日本の新聞にもバッチリ出ている事実なの ですから。  産経新聞 05 年 8 月 19 日付には以下のようにあります。  
「両国は今回の演習について「両国の相互理解と友好協力を促進するためで、第 三国に向けたものではない」と表明しているが、米国の一極支配に対抗する戦略的 な提携強化の一環にほかならない。」  
また、読売新聞 05 年 8 月 24 日付は、台湾の反応を載せています。  
「中露軍事演習、台湾外交部長が非難「地域平和に影響」  【台北=石井利尚】台湾の陳唐山・外交部長(外相に相当)は23日、読売新聞と会 見し、中国とロシアの軍事演習について、「台湾を威嚇しており、(東アジア)地域の将 来の平和に影響を及ぼすものだ」と強く非難した。」  
「また、合同演習が、日米の安保協議共同声明に「台湾海峡問題の平和的解決」 が盛り込まれたことに関係があると指摘、「台湾問題に手を出すなという、米国や日 本への中国の警告だ」と述べた。」(同上)  
外交部長は、暗澹たる思いで、国際社会に訴えかけます。  
「陳氏はさらに、『民主的で自由な台湾が706基の中国のミサイルの脅威に直面し ている現実は、中国の言う『内政』ではなく、国際問題のはずだ』と語り、国際社会の 関与を求めた。」(同上)   プーチン大統領(当時)は 06 年 3 月 21 日北京を訪問、胡錦濤国家主席と会談し、 共同声明に署名しました。  
両首脳は声明の中で、イランの核問題で中ロが「政治的・外交的手段で解決を図 るよう協力する」と確認。 ロシアはイランの原発利権に関与しています。中国にとっては、原油供給国。そし てイランの石油利権にかなり入り込んでいる。 中ロは、イラクの石油利権を、アメリカに武力で奪われた苦い経験があります。イラ ンの利権をアメリカが独占するのは許しがたいですよね。  
また、中ロ両首脳はガスパイプライン建設で合意。 そして、天然ガス世界最大手ガスプロムと中国石油天然ガス集団公司(CNPC)は 3 月 21 日、パイプライン建設に関する覚書を交わしました。  
ロシアは中国むけガスパイプラインを 2 本建設する。一本は、ウラルからアルタイを 通り、もう一本はサハリンからハバロフスクを通過し中国にいたる。 供給量は、年間600億~800億立方メートルの予定ですが、これは 05 年の中国 の全消費量(500億立方メートル)を上回る莫大な量なのです。 中国とロシアが反米で一体化している様子がご理解いただけたでしょう。   反米の砦上海協力機構   最近注目されることが多くなった上海協力機構(SCO)。   SCOは 01 年 6 月 15 日に創設されました。加盟国は、中国・ロシア・中央アジア 4 国(カザフスタン・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタン)。   中国にとってSCOは、石油・ガスがたっぷりあるお隣の地域中央アジアへの影響 力を確保するのに必要。   
米軍は、01 年のアフガン攻撃時、中央アジアにちゃっかり駐留し、そのままいすわ ってしまいました。   中国から見れば、米軍は「中国封じ込め」と「資源確保」という大きな目的のために 駐留している。この地域から、アメリカを駆逐し、資源を我が物にするために、SCOは 便利なのです。   そればかりではありません。中国とロシアは、SCOを「多極化推進の中心的組織」 に育てあげました。 多極化推進というのは、別の言葉でいえば「米一極支配を崩壊させる」ということ。   動きを追ってみましょう。 05 年 3 月に中央アジア・キルギスでアメリカによる「チューリップ革命」が起こった話 をしました。その後、ウズベキスタンで革命未遂があった。   旧ソ連の中央アジアは、皆欧米の基準からみると独裁国家。  独裁者達は、キルギスとウズベキスタンの出来事を見て、はっきり理解しました。 「アメリカとつきあっていると、いつ革命を起こされるかわからない。どうせなら同じ独 裁国家の中ロと仲良くしよう!」   それでどうなったか?  05 年 7 月 5 日、カザフスタンの首都アスタナでSCOの首脳会議が開かれました。こ こで、「アスタナ宣言」が採択されています。  そして、アスタナ宣言は、中央アジア駐留米軍の撤退を要求しているのです。  
 05 年 5 月の革命未遂時、「民衆に発砲した」ことを欧米から批判され気落ちしていた ウズベキスタンのカリモフ大統領。SCOを味方につけ、勇気100倍。  
ウズベキスタン政府は 05 年 7 月 30 日、アメリカに対し、01 年のアフガン攻撃時か ら駐留していた米軍の180日以内の撤退を、正式に要求しました。    さて、05 年 7 月の首脳会談では、もう一つ歴史的な決定がなされています。  イラン、インド、パキスタンが準加盟国として承認されたのです。  驚くべき決断です。  
イランは「悪の枢軸」で、アメリカの敵NO.1。 
これを準加盟国にするということは、「中ロはイランをアメリカから守る」という意味 でしょう。もちろん武力は使わないでしょうが。(2010 年になって、ロシアとイランの関 係は悪化してきました。)  
 パキスタンはイスラム教の国。 9.11 後、アメリカに協力し、関係は良好に見えます。しかし、パキスタンはアメリカ に脅迫されて服従しているだけ。  時事通信 06 年 9 月 22 日付に、以下のような記事があります。  
「空爆で石器時代に戻る覚悟を」=アーミテージ氏が脅迫――パキスタン大統領 【ワシントン 21 日時事】米CBSテレビは 21 日、パキスタンのムシャラフ大統領が同テ レビのインタビューで、知日派として知られるアーミテージ元国務副長官から2001年 9 月の米同時テロ発生後、対テロ戦争で米国に協力しない場合、空爆すると脅迫され たと述べたと報じた。  ムシャラフ大統領によると、アーミテージ氏は「空爆の覚悟をしておけ。石器時代に 戻る覚悟もしておけ」と発言。この発言は情報機関の責任者から同大統領に伝えら れた。(以下略)」  
 これどうですか? まともな神経の大統領でも、恨みを持つし「隙あらば反逆しよう」 と考えませんか? パキスタンがSCOの準加盟国になったのは、「この組織はアメリカに復讐してくれ る」という期待があるのでは?    インド。 インドは、アメリカといい関係を保っています。 しかし、ロシアの武器輸出の 35%はインドむけ。当然両国関係は良好。そして、仮 想敵中国とも和解を成し遂げています。  1961年の非同盟諸国会議設立を主導したインドの思想は、「多極世界支持」。そし て、インドは多極世界の一極になる力が十分あります。  
 これまで 3 回戦争をしているインドとパキスタンが、仲良くSCOの準加盟国になって いる。これは、米一極主義の衰退と中ロ多極主義の影響力拡大を示す一つの証拠と いえるでしょう。  
 06 年 6 月15 日、上海でSCO創設 5 周年を記念する首脳会議が開かれました。 
 準加盟国イランのアフマディネジャド大統領は、SCOエネルギー相会議をイランで 開催することを提案。 そして、「SCOを強化し、他国による内政干渉や脅しに対抗すべきだ」とアメリカを 非難しました。   プーチンはこの時、加盟国でエネルギー協力を強化する、「SCOエネルギークラブ」 創設を提唱しています。  首脳会議は「5 周年宣言」を採択しました。宣言は「政治体制の違いを内政干渉の 口実にしてはならない」「中央アジア各国政府の安定維持の努力を支持する」と明記 しています。   ここまで読んでこられた皆さんは、意味がわかりますね。これは、「中国とロシアは、 中央アジアの独裁者達をアメリカのカラー革命から守る」と宣言しているのです。   もう一点、この首脳会議の重要な内容は、「準加盟国の正式加盟手続き」が開始さ れたこと。  実現するとSCOは、中国・ロシア・中央アジア 4 国に、インド・パキスタン・イラン・モ ンゴルが加わり計 10 カ国になる。10 カ国というと大したことない。 しかし、世界経済を牽引するブリックスのうち 3 国が加盟国というのはインパクトが あります。 そして、ロシア・イラン・カザフは世界的資源大国。  このように、中国は、アメリカが支配したい資源たっぷりの中東・ロシア・中央アジア で着実に基盤を作っているのです。   中国最大の武器  
アメリカのいじめに耐えかねたプーチンが、「石油をルーブルで売る決断をした」と いう話をしました。 反米国家最大の武器は、「ドル体制を崩壊させるカード」なのです。中国はこの点 どうなのでしょうか?   ロシアの武器は石油ですが、中国の武器は「外貨準備」と「米国債」。  06 年 4 月 3 日、オーストラリアを訪問中の温家宝首相は、「今年 2 月に外貨準備高 が8536億ドル(約100兆円)に達した」と語りました。 日本は同月末、8500億ドルだったので、中国は外貨準備高で世界一に躍り出た のです。(06 年 11 月に 1 兆ドルを突破。10 年 3 月時点で 2 兆 4000 億ドル) 
 また、中国人民銀行の発表によると、同国が保有する米国債は 09 年末時点で 7500 億ドル(約 67 兆円)。  
 「いざとなったら、ドルを売るぞ! 米国債を売るぞ!」というのが中国のカード。    もちろん、これは簡単に切れるカードではありません。ドルが暴落し、アメリカの消 費が激減すれば、世界の工場中国も大打撃を受けます。  
しかし、米中の対立が激しくなり、中国共産党幹部が「このままいけば、俺らはフセ インのようにブタ箱行きだ!」と感じたら?  
「自分の命と権力と金を守るか?」「アメリカを没落させ、世界恐慌の引き金を引く か?」の選択を迫られれば? もちろん世界恐慌を選択しますね。  米中関係が最悪になった場合、中国はドルと米国債をなげうってアメリカを葬るカー ドもあるということです。   崩壊するドル体制   ユーロ誕生からはじまった倒幕運動は、中国・ロシア同盟により世界的潮流になっ ていきます。  そして、ついにアメリカの没落が、目に見えるようになってきました。  具体的には、「ドル体制の崩壊」がはじまった。    ユーロは、2002 年1月1日から現金流通が開始されます。  この時、1ユーロは 0.89 ドルでした。  その後、ほぼ一貫してあがりつづけ、リーマン・ショックが起こった 08 年9月には 1.5 ドルを超えていました。   (リーマン・ショック後、ユーロは対ドルで下落しました。 これは世界にでていたアメリカの資金が、危機で本国に帰還した(ドルを買った)か らです。  そして、「リーマン・ショック前」と「リーマン・ショック後」は「まったく別の時代」と考え るべきです。ユーロはドル体制を崩壊させましたが、結果欧州経済までも破壊される ことになったのです。) 
   現在ユーロは 22 カ国で使用され、各国の外貨準備にもひろく利用されるようになっ ています。現金流通でも、06 年末時点でドルを超えました。    イラク・イランにつづき、親米中東産油国もドルからの離脱を目指しています。  サウジアラビア・クウェート・アラブ首長国連邦・オマーン・カタール・バーレーンがつ くる「湾岸協力会議」は「湾岸共通通貨の導入」を目指している。   <GCC 首脳会議声明、2010 年の通貨統合目標維持へ=事務局長 07 年 12 月4日 18 時 29 分配信 ロイター  [ドーハ 4日 ロイター]  湾岸協力会議(GCC)首脳会議の声明では、2010 年ま でに通貨統合を達成することへのコミットメントが維持される見通し。>    これが現実化すると、「ドルで原油が買えなくなる」というトンデモナイ事態になりま す。  もちろん実現するかはわかりませんが、中東産油国がこういう「意向」を公言してい る事実だけでも、「アメリカの衰退」がはっきりわかるでしょう。    2008 年 10 月末、中ロ同盟が、「ドル基軸通貨体制」を崩壊させる爆弾を落としまし た。   <中露首脳、世界の金融取引で使われる通貨の拡大提唱 10 月 28 日 23 時 34 分配信 ロイター  [モスクワ 28 日 ロイター]  中国・ロシアの両首脳は 28 日、世界の金融取引で使 用される通貨の拡大を提唱した。 ロシアのプーチン首相はモスクワで開催中の中露フォーラムで、ドルよりもルーブルと 人民元による 2 国間取引を提案。>    既述のように、「ドルが基軸通貨」であることの基盤は、アメリカ以外の国々(たとえ ば中国・ロシア)が貿易する際、自国通貨(たとえば人民元・ルーブル)ではなく、ドル を使っていること。  
 もし中国・ロシアが貿易で自国通貨を使いはじめたらどうなるのでしょうか? そう、ドルは両国にとって「基軸通貨」でなくなるわけです。   
一極世界から多極世界へ  
08 年、ついにアメリカの「一極世界」が崩壊しました。 世界は、新たな世界秩序を模索しはじめます。 
  
08 年 11 月 14 日、G20 による金融サミットが開催されました。 G20 とはなんでしょうか?  
G8といえば、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア。 これにアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メ キシコ、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、ヨーロッパ連合(EU)が加わります。   G20 が世界 GDP に占める割合はなんと約 90%。   これまで世界の運営は、G8(G7プラスロシア)が中心に行っていました。 ところが、G8の力が相対的に弱まり、ブリックス(ブラジル・ロシア・中国・インド)や その他の大国抜きで何かを決めても、意味がなくなったのです。  
つまり、アメリカを中心とする G8の時代は過ぎ去り、G20 の時代が到来した。 
   アメリカ自身も 08 年 11 月、「一極世界は終わり、多極時代になる」ことを認めます   <2025 年「世界は多極化」…米国家情報会議が予測 11 月 21 日 23 時 13 分配信 読売新聞  【ワシントン=貞広貴志】米国の中央情報局(CIA)など 16 情報機関で構成する国家 情報会議(NIC)は20日、世界情勢を予測した報告書「世界潮流2025」を公表した。>   <中国、インドの興隆により、富と経済力が「西から東」へと動くことから、世界は多極 化へと移行。  一方で、米国は支配力を減じ、「西側同盟の影響力は低下する恐れがある」と警告 した。>    この予測は極めてまっとうであり、もはや「既定路線」といってもよいかと思います。  
  
中国、新たな世界通貨体制を提案   世界中が「ドル体制の崩壊」に気がついた。  しかし誰も、これからどうなるか知らない。  
 そこで、アメリカから「G2」とよばれ自信たっぷりの中国が「新たな秩序」を提案しま す。   <中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は23日、国際通貨基金(IMF)の特別引き 出し権(SDR)がドルに代わる可能性を示唆した。  SDR は IMF が 1969 年に創設した準備資産。  周小川総裁は、人民銀行のウェブサイトに掲載された論文の中で、SDR が準備通 貨として機能する潜在力があると指摘した。> (ロイター 09 年3月 24 日)   中国が「ドルにかわる準備通貨」として提案している「SDR」とはなんでしょうか? IMF の HP から引用してみましょう。   <特別引出権(SDR)  SDR は、加盟国の既存の準備資産を補完するために 1969 年に IMF が創設した国 際準備資産です。>   なぜ SDR は創設されたのでしょうか?   <特別引出権(SDR)は、1969 年に固定為替相場制のブレトン・ウッズ・システムを支 援するために IMF によって創出されました。>    ブレトン・ウッズ・システムとは?  
1944 年7月、アメリカ・ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで、連合国通貨金融会 議(45 カ国参加)が開かれました。  
 ここで、戦後の国際金融システムのあり方を定めたブレトン・ウッズ協定が締結され ます。  具体的には、国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されま
した。  
さらに、世界通貨体制として、金(ゴールド)1オンス=35 米ドルと定め、そのドルに 各国通過の交換比率を定める金ドル体制を採用。これにより、日本円は1ドル=360 円に固定されます。   <しかし、その重要な準備資産の2つである金と米ドルの国際的供給は、世界貿 易の拡大と当時起こりつつあった金融発展を支えるには不十分であることがわかりま した。>   これはつまり、金(ゴールド)の量が、世界経済を発展させるのに十分でなかったと いう意味。  
アメリカは終戦直後、「世界の工場」で「世界一の貿易黒字国」でした。しかし、日欧 が復興を完了すると、アメリカの貿易収支は悪化。  金がアメリカから流失するようになり、ブレトン・ウッズ体制維持が困難になっていき ます。   <そのため、国際社会は IMF の監視の下に新しい国際準備資産を創出することを決 めたのです。>   つまり、1969 年の時点で、「このシステムには永続性がない」と見られていた。 そして、SDR がつくられた。  
つまり、SDR はもともと「世界通貨になるべく」考案されたものだったのです。 
  
しかし、SDR は現在にいたるまで世界通貨になっていません。 なぜでしょうか?  
1971 年、ニクソン・ショックによりブレトン・ウッズ体制は崩壊。  世界は変動相場制に移行し、米ドルを基軸通貨としながら、今までなんとかやって きた。    要するに、ドルが強かったので、今まで SDR は必要なかった。 しかし、アメリカ経済がボロボロになったので、「もうドルは基軸通貨としての役割をは
たせません」「SDR を進化させて国際通貨にしましょう」というのが中国の提案なので す。   この提案が実現するかはともかく、世界では既に「アメリカ後の新世界秩序模索」 がはじまっていることがはっきりわかるでしょう。  
おわりに  
長い間おつきあいくださり、ありがとうございました。 皆さんとお別れする時間が近づいてきました。  
ここまで、アメリカが没落するまでの過程を、詳細に書いてきました。 今まで聞いてきた話とは、全然違う真実があることに驚かれたのではないでしょう か?  
既述のように、08 年と 10 年ではまったく違う時代になっています。  
10 年 9 月、「尖閣諸島中国漁船衝突事件」が勃発。 日本に「謝罪と賠償」を要求する中国の傲慢な態度に、大部分の日本国民は憤り ました。  なぜ中国は「凶暴」になってきたのか?  その最大の理由は、天敵アメリカが弱体化したから。  
 ついに中国は、「天下」を狙いはじめたのです。  
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 それでは皆さん 長い間おつきあいくださり、ありがとうございました。  また近いうちにお会いできることを、心から願っております。 
北野幸伯