●「アマン」は「モサド」と同じ1951年に創設された。軍参謀本部に属し、参謀長や国防相に情報を報告している。華やかな勲功が新聞に紹介されるモサドやシン・ベトに比べて目立たぬ存在だが、国家防衛の任務では、「アマン」こそ最大かつ最重要の諜報機関である。

アマンはエレクトロニクスや無線による情報収集だけに専念するわけではなく、アメリカの「国家安全保障局(NSA)」のような役割を果たしている。NSAはCIAの陰で活動をし続け、アメリカの諜報分野の幾多の成果を生む基盤となっている。

 
●アマンは軍隊組織と同様、非常によく組織されている。「コレクション」と「プロダクション」の2つの部を主力とした6つの部で構成されている。

コレクション部は、国境の外側でエージェントやインフォーマントを操作する「ヒューミント(ヒューマン・インテリジェンス)」や、無線傍受したり電話回線に盗聴装置を仕掛けて“地上会話”を傍受、録音する「シギント(シグナルズ・インテリジェンス)」を受け持っている。6日戦争で大勝利したのも、エジプトのナセル大統領とヨルダンのフセイン国王の電話のやりとりなど、アラブの戦争計画の協議を速やかに傍受し、その詳細をアマン機関からイスラエルの将軍たちに効果的に伝達したことが大きかった。


●プロダクション部は最大の陣容を備え、アマンの7000人の男女職員のうち3000人がこの部に属している。集められた情報を受け取り、分析するのが、その任務である。アマンは、エレクトロニクス戦では空軍と緊密に協力しており、これは専門家の間では「エリント(エレクトロニクス・インテリジェンス)」と呼ばれている。レーダーとか、それより更に高度なシグナルを送って敵軍を妨害したり、欺いたりするのである。


●アマンは諸外国のイスラエル大使館に武官も任命する。報道に対する軍検閲も担当する。軍内部からの機密漏洩を防ぐ任務にも当たっている。